難民認定、地方入管でも 申請急増で迅速化へ
日本で難民認定を求める申請件数が急増し、昨年1年間の申請者は初めて1万人を超える見通しとなった。就労目的で難民認定を申請するケースが多く、認定作業が滞りがちになっているため、法務省は6月にも認定判断を地方の入国管理局でできるように省令を改正し、効率化を図る。
難民認定には国による調査が必要で、少なくとも半年はかかる。認定されれば国内で就労できるが、原則として申請中は就労できず、申請者が困窮する恐れがあった。このため法務省は2010年、在留資格があり、申請から半年を過ぎれば一律に就労を認めるようにした。
法務省によると、10年に1202人だった難民認定申請数は11年以降、急増して過去最多を更新し続け、昨年は9月末時点で過去最多の7926人に達し、その後も増えている。出身国籍別の上位はアジアが中心で、特にビザ(査証)の発給要件が緩和されているインドネシアやフィリピンの増加が目立つといい、法務省は就労目的の申請が急増したとみている。
申請が増える一方、昨年1年間の難民認定数は15年の27人を大きく上回らない見込み。法務省幹部は「日本で難民申請をすれば就労できるとの誤った情報がブローカーや申請者の間で広まっている。本当に救済が必要な難民の審査に支障が出ている」と話す。
法務省は15年9月から「借金取りから逃げてきた」などの正当でない理由による申請や、申請理由が前回と同じ再申請には迅速な手続きで不認定にするなどの対策を講じている。しかし、本省に認定作業が集中して審査に時間がかかることから省令を改正し、認定や難民に当たるか否かの調査をさせる権限を地方入国管理局長に委任する方針を固めた。省令改正については1日から3月2日までパブリックコメント(意見公募)を実施する。
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