永住許可を取得するメリット
★在留期間の更新が不要になる
★在留活動の制限がなくなる
就労の在留資格を有していた方は、これまでの職種の縛りがなくなり、基本的に職業を自由に選択することができます。
★国籍は従来のまま、日本で安定的して生活できる
帰化と永住の選択で迷われている方も多いようですが、国籍を変える帰化は大きなメリットもありますが、当然デメリットもあります。永住であれば、デメリットはほぼゼロなので、迷ったら永住を選択されることをお勧めします。
★社会的信用の増加
住宅を購入したり事業を開始する際に受ける各種融資が受けやすくなります。また、職場においては、今後も安定して日本に在留できる永住権を持つ者には、安心して重要なポストを任せることができると評価されやすく、待遇面でも有利になります。
※注意点
適正な再入国手続き(みなし再入国を含む)をとらずに出国した場合は永住権も消滅し、また、退去強制事由に該当すれば退去を強制されることもあるため、永住許可取得後も注意が必要です。
<永住許可申請の確認事項>
確認事項①:「一定期間」「継続して」日本に在留している実績について
「一定期間」とは、在留資格により異なりますので、ご自身の在留資格に必要な在留実績についてご確認ください。
➣「日本人、永住者、特別永住者の配偶者の場合」:実態の伴った婚姻生活3年以上+1年以上の在留実績。
➣「日本人、永住者、特別永住者の実子等の場合」:1年以上の在留実績。
➣「定住者」「難民認定者」「我が国への貢献者」「高度人材」:5年以上の在留実績。
➣その他(「技術・人文知識・国際業務」「技術」など):10年以上の在留実績。
※注意点:10年以上の在留実績のうち、就労資格又は居住資格をもって5年以上在留していること。つまり、留学生として入国し学業終了後就職している方については、就労可能な在留資格に変更許可を受けた後、5年以上の在留歴を有していることが必要です。
「継続して」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることをいいます。つまり、再入国許可により一時的に海外に赴く場合は在留が継続していることになりますが、再入国許可によらずに出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効したりすると、その者の在留資格は消滅し、在留が継続していることにはなりませんので注意が必要です。
Question:海外出張が多い場合、出産・病気の療養のため日本を長期間離れていた場合は、永住申請に不利になると聞きましたが、本当ですか?
Answer:日本を離れていた日数や理由により、審査に影響があります。180日が基準との噂もありますが、生計の安定性やその他の在留状況などを総合的に判断して許否が決定されます。ここで最も重要なのは、ご自身の出国状況を正確に把握し、その状況・理由を証明できる資料を準備し、理由書を作成することです。例えば、海外出張の場合は、出張を命じた期間や従事内容・人選理由などを記載した出張内容証明書を会社に作成してもらいます。また、出産・病気の療養の場合は、医療機関発行の診断書や領収書、医師の治療所見などを準備します。いずれの場合も、これらの証明書と出国事実を結びつける理由書が審査のポイントになります。
確認事項②:現在有している在留資格の「在留期間が最長のもの」であること
「在留期間が最長のもの」とは、最長期間が5年とされている在留資格に関しては、3年の在留期間でも最長のものとみなされる措置がとられています。ただし、今後必要な在留期間が変更される可能性があります。
確認事項③「独立して」「安定した」「生計を営む」ことができること
「独立して」とは、公共の負担(生活保護受給)になることなく、安定した生活を送ることができることをいいます。
「安定した」とは、雇用形態(正社員・契約社員・派遣社員)や賃金、手当、福利厚生などの収入面と、家族構成や扶養状況、家賃、生活費などの支出面、預貯金や有価証券や不動産などの貯蓄面などを総合的に判断されます。就労の在留資格の場合は、勤続年数や転職歴なども重要な要素になります。
「生計を営む」とは、必ずしも申請人自身だけでなく、申請者が配偶者等とともに構成する世帯単位で判断されます。例えば、家族滞在で在留する配偶者のアルバイトなども含めて資格外活動
Question:現在、契約社員として就労の在留資格で働いています。正社員じゃないと、永住許可はとれないのでしょうか?
Answer:雇用形態(正社員・契約社員・派遣社員)という枠組みだけではなく、就労日数や勤務時間・賃金・手当・福利厚生・経歴と業務との関連性・会社の安定性や継続性などの事情を総合的に判断されます。正社員ではないからという理由だけで、永住許可を諦める必要はありません。
④素行が善良であること
犯罪歴・各種税金の納税状況・健康保険や年金の加入状況・
永住者の在留資格をもって在留する者は、活動に制限はなく、在留期間にも制限がないことから、永住許可に係る審査は言わば入管としては当該外国人の在留に関する最終の審査になることから、適切に行う必要がある。もとより、在留資格の取消しの対象であり、退去強制事由に該当すれば退去を強制されることもあることから、永住者についても引き続き在留状況を把握し適切な管理を行う対象である。
永住許可の要件
①居住要件
②現在の在留資格の在留期間が最長のものであること
③素行が善良であること
④申請者自身又は配偶者その他の親族の資産等によって独立して生計を営むことができること
法律上の要件
ア 下記イ及びウ以外の者の要件
◆素行が善良であること(以下「素行善良要件」という)
◆独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(以下「独立生計要件」という)
◆法務大臣が日本国の利益に合すると認めたこと(以下「国益要件」という)
イ 日本人、永住者、特別永住者の配偶者又は子の要件
◆国益要件のみ
(素行善良要件、独立生計要件は不要)
ウ 難民認定を受けた者の要件
◆素行善良要件
◆国益要件
(独立生計要件は不要)
素行善良要件について
次の①~③のいずれにも該当しない者であること。
①日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられたことがある者。ただし、刑の消滅の規定の適用を受ける者又は執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過しその後更に5年を経過したときはこれに該当しないものとして扱う。
②少年法による保護処分が継続中の者
③日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素善良と認められない特段の事情がある者
刑の消滅の規定:刑法第34条の2
禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも、同様とする。
独立生計要件について
日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれることをいう。すなわち、生活保護を受給しておらず、現在および将来においていわゆる「自活」をすることが可能と認められる必要がある。
なお、独立生計要件は、必ずしも申請人自身が具備している必要はなく、申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位でみた場合に安定した生活を続けることができると認められる場合には、これに適合するものとして扱う。
国益要件について
次の(ア)~(オ)のいずれにも適合する者であること。
(ア)長期間にわたり我が国社会の構成員として居住していると認められること
①引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この10年以上の期間のうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上本邦に在留していることを要する(以下「本邦在留要件」という)。
②現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
(イ)納税義務等公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること
(ウ)公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
(エ)著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること
(オ)公共の負担となっていないこと
特例措置について
申請人が「日本人、永住者又は特別永住者の配偶者、実子又は特別養子」の場合
素行善良要件及び独立生計要件に適合することを要しない。
なお、本邦在留要件については次のとおりとする。
配偶者については、実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。
実子又は特別養子については、引き続き1年以上本邦に在留していること。
「定住者」の在留資格を有する者
本邦在留要件については、「定住者」の在留資格を付与された後、引き続き5年以上本邦に在留していることで足りる。
「高度専門職」の在留資格を有する者又は「高度人材外国人」として「特定活動」の在留資格を有する者
本邦在留要件については、「高度専門職」の在留資格又は「高度人材外国人」として「特定活動」の在留資格を付与された後、概ね5年当該在留資格に該当する活動を引き続き行って本邦に在留していることで足りる。
(注)永住許可申請は、「高度専門職」の在留資格又は「高度人材外国人」としての「特定活動」の在留資格に該当する活動を行っている期間が4年6月を経過する時点で受け付け、在留状況等問題がないと認められた場合に許可するものとする。この場合において、在留期間の満了日直前(在留期間の満了日の4月前以降)に永住許可申請がなされる場合を除き、在留期間の満了日までに当該永住許可申請に対する許否を決定できるように進達する。
Question.
日本に在留している外国人が、「永住者」の在留資格を得るためにはどうしたらよいでしょうか。日本人と結婚している場合や、就労している場合などでは、条件が違うのでしょうか。在留資格による違い等について説明してください。
Answer.
日本に在留する外国人が「永住者」の在留資格を得るには、入管法第22条第1項の規定に基づき、永住許可申請を行わなければなりません。同条第2項では、永住が許可される要件として、
①素行が善良であること
②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2点を定め、かつ、③「法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる」と規定しています。
なお、申請人が「日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者」の配偶者又は子である場合には、上記①及び②の要件に適合することを要しないことになっています。
Question.
「法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる」とは、具体的にどういうことでしょうか。また、永住が許可される要件とは、具体的にどういうことなのでしょうか。
Answer.
永住の許可は、法務大臣の広範な裁量に基づき行われるものであるとの意味であり、その者(申請人)に対して永住を許可するか否かの判断は、出入国管理を取り巻く内外の諸情勢その他の事情を総合的に勘案して行われるものです。実務上は、これらの要件を満たしているかどうかを、次の諸点を主なポイントとして審査されることになります。
①一般原則について
10年以上継続して日本に在留していること。「継続」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることをいいます。つまり、再入国許可により一時的に海外に赴く場合は在留が継続していることになりますが、再入国許可によらずに出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効したりすると、その者の在留資格は消滅し、在留が継続していることにはなりません。
留学生として入国し、学業終了後就職している方については、就労可能な在留資格に変更許可を受けた後、5年以上の在留歴を有していることが必要です。
②日本人、永住者又は特別永住者の配偶者について
婚姻後3年以上日本に在留していることが必要です。ただし、海外において婚姻・同居歴のある場合には、婚姻後3年を経過し、かつ、日本で1年以上在留していれば足りることになっています。配偶者に関しては、婚姻の実態が伴っていること及び婚姻生活の破綻や、それに伴う別居等がなく、正常な婚姻生活が継続していることを要します。
③日本人、永住者又は特別永住者の実子又は特別養子について
引き続き1年以上日本に在留していれば足りることになっています。
④難民認定を受けている者
引き続き5年以上日本に在留していること
⑤インドシナ定住難民
引き続き5年以上日本に在留していること
⑥定住者の在留資格を有する者
定住許可を受けた後、引き続き5年以上日本に在留していること
⑦外交、社会、経済、文化等の分野における日本への貢献があると認められる者
引き続き5年以上日本に在留していること
⑧現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
⑨公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
以上の主なポイントを満たしている場合は、永住許可への第1ステップをクリアしたことになりますが、さらに申請者個々の在留状況を総合的に判断し、許否が決定されることになります。